Thursday, June 23, 2011

日本とアメリカの理学療法の違い

僕の答えは、「レベルや治療に違いはない」ということです。
http://www.aaompt.org/education/conference10/Break_Out_Session/2010_AAOMPT_Cook_Sizer_Breakout_Session_1_and_2_Tailored_Home_Exercise_Updated.pdf

上 記の図は、僕の卒業したテキサス工科大学の理学療法士でもあるサイザー博士が強く強調していたものです。いつも見るものと逆ではありませんか。レベルの高 い研究がピラミッドの頂点にあるのが当たり前では??これはEBMで証明されているものは最低限のものであり、それを踏まえたうえで臨床での治療は経験か ら決断すべきということです。この考え方に僕は納得しています。

よ くリハビリはアメリカのほうが進んでいるとか、教育のレベルが違うとか、独立診療でアメリカのほうが優れているとかいわれていますが、どちらも経験してき ている僕個人の意見ではそんなことはないと思います。これもよく言われることですが、両国に良いところはあります。しかし、それは文化や歴史の違いで当た り前のことです。それ以前に、科学として理学療法を見つめると、日本とアメリカの理学療法はどの分野においても大きな変わりはないと思います。ひとつの理 由として解明されていないグレイゾーンが多い、なぜかわからないけど効果的ということがあります。二つ目の理由として、根底に今の最前線の Evidenceといわれる研究によって証明されている効果的な治療法があって、その上に経験から基づく治療があることがあげられます。つまりEBMで証 明されていることは当たり前であって、まじめに臨床をしている先生方は皆さんその上に効果的な治療を行って、患者さんに対して結果を残せるようになってい るということが大きな証明だと思います。なぜかわからないけどこうすれば、というように。と考えると、まじめに臨床を積んでいればいい理学療法士になれる ということになります。ではまじめにとはどういうことでしょう。それはやはり何が患者さんのためになるのかと考えることであり、学び続けるということで しょう。そこで一ついいたいのは、やはり英語でスラスラ論文を読めると、一気に世界が広がるのではということです。論文 の数、そして関連分野の数が違いすぎます。今は世界のどこでも、多くの論文、雑誌が読むことができます。自分もまだ不十分ですが、そのことを大きく感じています。それが、一つの臨床で結果を残せる臨床家になる近道に なるのかもしれません。トレーナーにも同じことが言えるのかもしれません。

Sunday, June 19, 2011

ビザの苦しみ、、、もう大丈夫ですが

外国人である限り、アメリカで働くためには労働ビザが必要です。僕の現在のステータスはアスレチックトレーナーとしてのH1Bという労働ビザ。それ以前は学生ビザ(F1) の延長のOPT(optional practical training )と呼ばれる状態でした。

何が苦しかったかというと、昨年9月に雇い主と弁護士が手続きをして応募した労働ビザが下りるのに、つい先週、今年の6月中旬までかかったということです。その間、1月に予定していた日本帰国は中止になり、6月から法的に働けなくなった上に車の免許も失効になり、今の仕事を首になりかけたというもありました。そこで得た教訓が以下です。

1.手続きや必要書類、流れなどをUSCISのウェブサイトでしっかりと把握すること。このサイトで規則の変更なども変更後即時に確認できます。
2.弁護士が経歴から優秀だとしても、実務を行うのはパラリーガルという助手の場合が多いため信用しないこと。大学つきや移民局関連の弁護士には優秀でない人も多いことを理解しておいたほうがよい。
3.USCISのウェブサイトで自分のステータスを確認すること。ケースステータスという画面で自分の申請した書類がどのような段階にあるのか確かめられます。
4.Premium Processという10万円かかる15日以内でビザの手続きを終わらせる特別手段を早期に使うこと。10ヶ月待った僕のビザも、これを使ったら2日で下りました。
5.OPTの延長や他の規則については変更が頻繁に行われるため自分で変更を随時把握すること。

たとえアスレチックトレーナーのビザがあるからといって、他の職種で同じように働けるわけではありません。僕の場合は理学療法士として法的に給料をもらいながら働きたいので、現在の労働ビザに理学療法士という名前を付け加える必要があります。それはこれからすぐに行うので、獲得し次第、注意点などを書きたいと思っています。

Saturday, June 4, 2011

黒川節


今日は一つの動画から多くの学びがありました。以前から黒川清氏のブログを見ていましたが、この動画で語られている若い人たちへのメッセージはそのすべてを凝縮したように感じました。是非ご覧ください。

その内容を簡略して書くと、1)挫折をすることは、壁にあったときの答えを出す肥しになる、2)挫折をし、議論、勉強することで自分の強みと興味がはっきりしてくる。そこに向かって進むと自分のすべきこと、自分でしかできないことがなしえる可能性が出てくる、3)世界中に自分と共通する価値観のある、話し合える、または認めてくれるコネクションを作る。それが、人生の幅を決める、というものです。お互いがんばりましょう。

Wednesday, June 1, 2011

サーマンとレイノルド



私が整形分野の中で理学療法やトレーナーと働いている中で最も難しいと感じることが、根本の原因を突き止め治療することです。それは痛みのある箇所でもなく、疼痛を引き起こしている組織でもなく、その組織に変化を引き起こしている身体全体の動き方であり、生活習慣や競技の仕方です。

最近友人に紹介してもらったレッドソックスヘッドトレーナーのマイク・レイノルド氏のホームページの中で色々な治療やそれに向かう心意気が紹介されています(このブログがすばらいしいので読んでみてください)。例えば、投球動作を行うアスリートで肩に痛みがあるのであれば、後方関節包や肩甲骨のコントロールだけではなく足関節、股関節のROMや、体幹の使い方を見ろといいます。腰痛があるのであれば、神経筋や脊柱はもとより、仕事の中の動きや姿勢から組織に過負荷がかからない方向に導くことが重要だといわれます。

これらのこと自体はとても一般的なことですが、多くの治療家にかけているところだと思いますし、いかんせん難しいです。しかし解剖と運動学を基に考えられます。それらの動きを指導するためにはモーターコントロールを伴う神経科学の理解も必要です。一番上に示してあるビデオはDr. サーマンの学生に向けた講義です。スポーツとは関係ないようですが、上記に書いた本当の原因を突き止めることの重要性がわかり易く語られていますので一度見てみてください。

多くの疼痛の原因は動きと癖にある。

サーマンの本もお勧めです。日本語訳もあります。10年後に、少しはこのようなことが頭の中のアルゴリズムの中に組み込まれて瞬時に治療につなげられるようになっていたいです。

しかし奥が深い!