私が経験しているものでも、長距離ランナー、頸部疼痛と下位頚椎神経症状、胸背部痛、手根管症候群などなどがあり、その原因のものもあれば二次的なものもあります。どのような上肢の神経障害でも合併している可能性が高いので絶対に検査治療すべき疾患です。
胸郭出口症候群についての治療としては、第一肋骨へのアプローチや、斜角筋のストレッチ、姿勢の矯正、小胸筋のストレッチなどが原因によって使われています。この治療について私のバイザーであったフーパー先生が書いていたもので改めてなるほどと思ったものをあげます。
まずは横隔膜呼吸の重要性です。運動中に上肢の痺れなどが胸郭出口症候群が原因で現れることがあり、水泳や長距離ランナーでは私も見たことがあります。その時に解剖学的にアプローチすることとは別に横隔膜呼吸を強調することで、斜角筋等の呼吸補助筋の過度の働きを抑え症状を軽減する可能性があるいうものです。
次には腕神経叢の神経モビ(フロッシング)です。鎖骨下と第一肋骨の間の部分も、烏口突起と胸郭、胸筋の隙間を通っている部分も近位では第一肋骨を下方にモビライゼーションすることで神経の滑りや血流を促すことができます。また正中神経と尺骨神経のモビライゼーションを行うことでも腕神経叢遠位部に刺激を加えることができます。
Hooper TL, Denton J, McGalliard MK, Brismée JM, Sizer PS Jr. Thoracic outlet
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Hooper TL, Denton J, McGalliard MK, Brismée JM, Sizer PS Jr. Thoracic outlet
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